フェノール類

【フェノールと主なフェノール類】

 ベンゼン環の水素原子をヒドロキシ基で置換したものをフェノールという。次にフェノールおよび代表的なフェノール類を示す。フェノールは常温で無色の固体で融点は41℃,特有の刺激臭がある。

 
 

【フェノール類の性質】 

フェノール類はアルコールと異なり,水溶液中でわずかに電離し,弱酸性を示す。

 
 

そのため,水酸化ナトリウムなどの強塩基と反応し,ナトリウムフェノキシドができる。また,ナトリウムフェノキシドは弱酸の塩になるので,塩酸などの強酸を作用させると,フェノール(弱酸)を遊離する。

 
 

フェノールの酸性の強さは,カルボン酸に比べると弱く次のような順になる。

   〔 スルホン酸 > カルボン酸 > 炭酸 > フェノール 〕

 このことから,弱酸の遊離(弱酸の塩に強酸を作用させると,弱酸が遊離する。このとき強酸は塩になる)による反応を考えると,炭酸水素ナトリウム(炭酸の塩)に対して,酢酸(カルボン酸)は作用して酢酸ナトリウムになり,二酸化炭素が発生するが,フェノールは作用しない。

   〔 NaHCO3 + CH3COOH → CH3COONa + CO2 + H2O 〕

 

【フェノール類の反応】

置換反応

フェノールのベンゼン環は置換反応を起こす。フェノールの水溶液に臭素水を加えると,2,4,6,-トリブロモフェノールの白色沈殿が生成する。この反応は,フェノールの検出になる。またニトロ化すると,2,4,6,-トリニトロフェノールができる。これはピクリン酸と呼ばれ,TNT同様爆薬となる。

 
 

 フェノールのOHはアルコールと同様の反応も示す。金属ナトリウムと反応すると 〔 水素 〕を発生する。

 
 

カルボン酸とはエステルをつくる。フェノールに無水酢酸を反応させると酢酸フェニルが生成する。

 
 

無水酢酸を用いた場合,副生成物として酢酸ができる。酢酸を用いてエステル化すると,H2Oが生成するので,この水によるエステルの分解が考えられ,それを避けるため,無水酢酸を用いる。この反応でできるCH3CO−を〔 アセチル基 〕という。そのため,この反応はエステル化であるが,〔 アセチル化 〕ともいう。

 

フェノールの呈色反応

 フェノール類は〔 塩化鉄(V) 〕水溶液と反応して,それぞれ青や紫の色を呈する。

 

【フェノールの製法】